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在日アメリカ大使館のホームページには「「有罪無罪のいかんにかかわらず」逮捕歴のある人はVISA免除プログラムの対象外」との主旨があり気にする人が多いようだ。
しかし海外でいう「逮捕歴」と日本での「逮捕歴」には微妙にニュアンスの違いがある。
一般に、日本でいう逮捕とは「物理的に犯人に手錠をかけたり、留置所に入れたりして拘束すること」を指す。しかし自転車泥棒や少額の万引きで現行犯逮捕されたような場合、海外の感覚でいえば「まだ逮捕され有罪判決を受けてない以上、逮捕歴はなし」なのだ。
海外でいう逮捕とは「執行猶予中以上の有罪・前科持ち」に伴った逮捕歴を指すイメージといえる。当然、略式起訴で罰金や、検察で起訴され裁判で有罪判決を
受けた「前科」のある人は「逮捕歴あり」と申告しなくてはいけない。
アメリカへの機内で書くI94-Wに「逮捕歴なし」と申告し、万一その虚偽がばれたら永久にアメリカ入国できなくなる。
先の例(自転車泥棒、少額の万引き)のような場合であれば、警察で微罪処分か、
検察へ書類送検の上、不起訴処分(起訴猶予か嫌疑不十分)になるケースが多い。「厳しい厳しい厳重注意」という感じか。検察官のお情けによって、不起訴処分となれば法的に有罪でなく、言葉は悪いが無罪放免、「前科」はつかない。「前歴」となる。
ところが、たとえば痴漢でつかまり略式起訴で罰金(実刑)を払ったり、
検察で起訴され、裁判で有罪となった場合(起訴されれば99%有罪が現実)
それが「執行猶予つき」であっても狭義ではもはや一生「前科」者となる。
なぜならば「犯罪人名簿」や「犯罪経歴証明書」には一定期間
(5年、10年など)を過ぎれば「前科」は掲載されなくなる
(前科から前歴になり警察に記録が残る)が、そういった「刑の消滅・
前科の抹消(刑の言い渡しが効力を失った)」後も、「前科」情報自体は
犯歴情報として検察庁に死ぬまで残される。
本人の死亡届が役所に提出され、それが法務局に届き、検察庁に知らされて、
ようやく検察庁の犯歴記録から削除される。一生「前科者」といったのは
そういう意味だ。
「前科」がつく、とはそれほど重い事実である。
本人は厳粛に受け止めなくてはならない。
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